業績・研究

研究 Research

研究課題

  1. 急性慢性創傷に対する被覆材の開発
  2. 創傷治療過程とNKT細胞に関する基礎的開発
  3. 顔面骨吸収性プレートに関する基礎的開発

研究室長

館 正弘 東北大学医学部 形成外科 教授

研究員代表

高木 尚之 東北大学病院 形成外科 助教
当研究室は、日本の創傷治癒研究の中核を担い、日本中の知識を総動員して、新たな創傷治療法の開発に向けた討論を行い、世界に情報を発信していくことを目標としています。
したがって、我々は新たな領域を切り開くポテンシャルを持った創造性豊かな研究テーマに取り組む学生・研究者を広く公募します。
我々は学生・研究者により良い研究する場を提供し、研究を支援することをお約束します。
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研究員

菅野 恵美 東北大学医学部 看護アセスメント学分野 講師
丹野 寛大 東北大学医学部 看護アセスメント学分野 助教
佐藤 顕光 東北大学医学部 大学院生(博士)
三浦 孝行 東北大学医学部 大学院生(博士)
村木 健二 東北大学医学部 大学院生(博士)
山口 賢二 東北大学医学部 大学院生(博士)
佐藤 紀子 東北大学医学部 大学院生(修士)
正木 愛梨 東北大学医学部 大学院生(修士)

研究全体

研究キーワード

創傷治療、炎症反応、細菌バイオフィルム、吸収性プレート、虚血再灌流障害

技術キーワード

動物実験、遺伝子改変動物、病理解析、電子顕微鏡
 我々が取り組んでいるのは、創傷治療における白血病の役割です。いままで、白血球は創傷治療には直接の影響は与えないと考えられてきており、白血球を除去した状況では創傷治療が促進される知見もあることから、不要なものであるとする意見もありました。また慢性創傷では炎症が持続することがその要因であることも定説となっています。我々は急性創傷では創面に高濃度の微生物を播種した場合、微生物の存在により好中球が集積し、TNF-α産生が高まり、創傷治療を促進することを明らかにしてきました。このことから、微生物の存在という環境下では白血球は創傷治療に積極的に関与することが分かってきました。創傷における白血球の挙動に影響を与えている細胞にNKT細胞があります。NKT細胞のノックアウトマウスを使った研究によって、NKT細胞の存在が白血球を抑制し、創傷治療を抑制することを見出しました。したがって、白血球は創傷初期と慢性皮膚潰瘍ではフェノタイプが異なっている可能性が浮かび上がってきました。加えて、IL17や白血球に関連するケモカインに着目して研究をおこなっている。
慢性虚血肢に対する遺伝子治療法の開発に関しては、医工学研究科分子デリバリー分野の小玉哲也教授との共同研究において、閉塞性動脈硬化症などの慢性虚血性疾患に対する遺伝子発現および組織血流のイメージングの研究をしています。
  1. Figure 1 細菌を負荷すると、創傷治療が促進される

    Figure 1 細菌を負荷すると、創傷治療が促進される

  2. Figure 2 慢性創傷とバイオフィルムの関係

    Figure 2 慢性創傷とバイオフィルムの関係

研究内容

1.慢性創傷における炎症持続機構の解明 (担当:菅野恵美)

感染分子病態解析学分野の川上和義教授、石井恵子准教授と連携し、慢性創傷で問題となる皮膚創傷治癒過程における炎症持続機構の解析を進めています。
これまでに、急性創傷では高濃度の微生物が存在しても、炎症は一過性であり、むしろ微生物(緑膿菌)の存在により好中球の集積、TNF-α産生が高まり、治癒が促進することが明らかになりました。
(研究の詳細: Emi K et al., Wound Repair and Regen 19(5):608-621,2011)
このことから、微生物の存在のみでは創部の炎症は持続しない可能性が示唆されます。
今後は免疫低下動物モデルや好中球減少モデルを用い、臨床で慢性創傷を有する方に即した状況下での病原微生物と免疫応答の関連性について解析を継続したいと考えています。

fig:慢性創傷における炎症持続機構の解明 (担当:菅野恵美)

2.皮膚創傷治癒過程におけるNKT細胞の役割について (担当:丹野寛大)

fig:皮膚創傷治癒過程におけるNKT細胞の役割について (担当:丹野寛大)

NKT細胞は腫瘍、感染、アレルギーなど様々な疾患の制御に深く関わり、一般的には特に癌細胞を攻撃し、発癌を抑制することが知られています。
しかし、これまで創傷治癒とNKT細胞の関係を明らかにしている報告はほとんどありません。
我々の研究によって、NKT細胞が創傷治癒にプラスに働く可能性が示唆されました。
しかし、その機序については、明らかではありません。

3.創傷治癒におけるC型レクチン受容体 (CLRs)/ CARD9を介したDAMPsの影響(担当:佐藤紀子)

受傷後早期の創部炎症反応は、外因性の病原体関連分子パターン(PAMPs)や死細胞や壊死組織から放出される内因性のダメージ関連分子パターン(DAMPs)により誘導され、治癒の起点となると予想されています。PAMPsやDAMPsを認識する受容体として、Toll様受容体(TLRs)やC型レクチン受容体(CLRs)が知られています。創傷ではTLRsに注目した研究が多く、CLRsとの関連には不明な点が多い状況です。
これまで、慢性創傷における炎症遷延へのPAMPsの影響が注目され、細菌制御に主眼を置いた治療がなされておりますが、DAMPsの関与も多大であると予想し、CLRsを介したDAMPsの影響について解析を進めています。

4.創傷治癒におけるインターフェロン-γの機能解明(担当:正木愛梨)

IFN- γはNKT細胞、NK細胞、ヘルパーT細胞から主として産生されるサイトカインであり、Th1タイプの炎症誘導、マクロファージの活性化、免疫調整など、癌や免疫学の領域ではその多機能性が注目されています。
これまで、創傷治癒に対しては抑制的に関与するとの報告が多いのですが、創部炎症反応への影響は詳細に解明されておりません。IFN-γは皮膚損傷後12時間と早期に発現のピークを認め、ミエロイド系細胞の活性化に関与することから、現在IFN- γが創部炎症反応に与える影響について解析を進めています。