先天体表異常のなかで最も頻度が高いのは口唇裂・口蓋裂です。
これらは顔面に大きな醜形を生じるため、機能的にもまた整容的にも早期により正常に近い形への修復が必要ですし、成人するまでの長期間の継続的な治療が重要です。
東北大学では新生児期より歯科(歯学部)、耳鼻咽喉科、小児科などとのチーム医療によって口唇裂・口蓋裂以外にも小顎症、小耳症、頭蓋骨形態異常などのさまざまな先天異常に対し頭蓋顎顔面外科の専門外来を設けて診療を行っています。
また外傷や腫瘍切除後の頭蓋顎顔面の変形に対しても同様に対応しています。
リンク: 東北大学病院唇 顎口蓋裂センター
外傷や腫瘍切除などによって生じた組織の欠損や機能障害を手術によってできるだけ元に戻すのが再建外科です。
欠損した組織範囲によっては皮下脂肪や筋肉あるいは骨を含めた組織の移植が必要となり、現時点では自分の他の部分の組織を移植するのが最も有効な方法です(他人からの皮膚・皮下脂肪・筋肉・骨などの移植はまだ非常に困難な状態です)。
こういった組織の移植手術では顕微鏡を用いた血管吻合の技術(マイクロサージャリー)が欠かせません。
当科では頭頚部や顔面においては脳神経外科、耳鼻咽喉科、眼科など、四肢においては整形外科や皮膚科など、胸部や腹部などでは外科や心臓血管外科などと連携し、このマイクロサージャリーの技術を積極的に用いた再建外科治療を行っています。
ケガや手術、やけどによって生じた瘢痕(きずあと)は、傷の深さや大きさ、部位、感染の有無などによってその外見、症状は異なってきます。
傷は塞がっても赤く盛り上がり、かゆみやつっぱり感を伴うものを肥厚性瘢痕と呼び、さらに傷の範囲を超えて盛り上がり、激しいかゆみ、痛みを伴うものをケロイドと呼びます。
当科ではこのような肥厚性瘢痕やケロイドに対して、ステロイド(ケナコルト)注射・テープ・外用剤や内服薬による複合的保存治療を基本としながら、再発予防のための術後放射線治療を組み合わせたケロイド切除・瘢痕形成手術による治療を行なっています。
眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)とは、上まぶたが垂れ下がって眼が開きにくくなり、視界が狭くなる状態を言います。最も多いのは年齢とともに徐々にまぶたが下がってくるタイプの眼瞼下垂症です。初期には眉を上げたりすることで眼を開けられるのですが、余計な力が入ることで肩こりや頭痛などの症状が引き起こされる方もいます。その他生まれつきのものや、全身疾患に伴う場合もあり、正確な診断が大切です。治療は主に手術となりますが、原疾患がある場合には他科と連携してそちらの治療を優先して行います。
当科では小児から大人まで全年齢の眼瞼下垂症を扱っているほか、睫毛内反、眼瞼外反・内反などといった一般眼形成手術についても診療しておりますので、まずは一度ご相談ください。
当院においては、東北地方でも数少ない、血管腫や難治性脈管奇形を総合的に取り扱う専門外来を開設しています。治療の特色としては、切除手術のみならず、切除が困難な症例に対する硬化療法(図)や、放射線科と連携したカテーテル治療、小児科と連携した内服治療など、当外来が窓口となり、その疾患それぞれに対して適切な治療法を選択しております。
難治性脈管奇形は特に、生まれながらに血管やリンパ管の構造異常を伴い、症候群や難病指定となるような重症まで、幅広く存在します。近年国際的に、この分野における病因となる原因遺伝子の解析が目覚ましく進んできております。当院においても、さらなる遺伝子検索を行なうべく、当大学遺伝学教室との連携も始まっています。原因遺伝子をターゲットとした治療薬の開発に関わる治験参加なども通して、難病に対する新たな治療選択肢を増やしていくことで、患者QOLの向上に貢献できるよう、私たちは日々、向き合っております。
なお、当科には色素レーザーが備わっていない(2022年3月現在)ため、レーザー治療を第一選択とする治療を要すると判断された場合には、適宜、他施設へ紹介いたします。