教室紹介

当科の歴史History

教室独立までの歩み

黎明期
東北大学形成外科教室は昭和38年(1963年)、東北大学整形外科内に形成外科診療班(班長:岩内省三先生、班員:藤田晉也先生ほか1名)として設置されたのがその始まりで、形成外科診療班に専従しているのは藤田晉也先生1人、週に一回の形成外科診療班診察日を持つのみでした。

長町分院での形成外科発足
昭和43年(1968年)に飯野三郎整形外科教授により東北大学附属病院長町分院整形外科の病床が形成外科専用に変更されました。藤田晉也先生が長町分院整形外科科長に任ぜられ、9床の専用病床を獲得して形成外科の診療と研究を開始し、これをもって東北大学形成外科が実質的に発足しました。当時、東北地方では手の外科と形成外科を専門とする施設は乏しく、東北地方全域から患者が長町分院に受診する状況であったと言います。

東北大学医学部附属病院本院への統合
昭和55年4月に長町分院は本院に統合されました。その頃になると、藤田晉也先生のもとに徐々に形成外科を学ぶ医師が集まるようになり、昭和55年4月の長町分院の本院統合時には教室員は10名となりました。しかし、本院での形成外科は依然として独立した診療科ではなく、診療科長は整形外科教授の併任でした。

形成外科の発展
昭和57年(1982年)には、整形外科内の診療班ながら、助教授に昇任した藤田晉也先生のもと、8~9名の教室在籍医師で、年間外来患者数約1000名、年間手術件数約400件の診療と研究を行うまでに教室は成長し、昭和59年(1984年)10月には「診療科開設10周年記念会」を開催する事ができました。藤田晉也先生は主に手の機能再建、顔面・手・足の体表先天異常の臨床的ならびに疫学的研究を精力的に進められました。その一環として、昭和48年(1973年)から宮城県内ではじめられた体表先天異常の全数調査は、当時画期的な体表先天異常の疫学的研究としてみやぎ県立こども病院が開設される2003年まで続けられました。また、教室のメインテーマであった母指多指症の臨床的研究では多くの業績を残されました。
平成6年(1994年)3月に藤田晉也先生助教授が定年退官されましたが、この時点でも形成外科の診療科としての独立は叶っていませんでした。

独立した教室へ
平成7年(1995年)1月、東京大学形成外科助教授山田敦先生が助教授として赴任されました。山田敦先生は長年にわたって東京大学形成外科で、マイクロサージャリーを中心とする機能再建・頭頚部再建に関して多くの業績をあげておりました。赴任後もしばらくは形成外科の教授は整形外科の教授が兼任しており、教室としての独立は叶っていませんでした。平成11年(1999年)9月に、大学院重点化に伴う東北大学医学系研究講座の再編に伴い障害科学専攻機能回復外科学講座機能回復外科学分野が誕生し、同分野の教授として山田敦先生が就任しました。山田敦先生の赴任から4年後、藤田晉也先生が長町分院で形成外科の診療をはじめられてから実に31年の時を経て、ここに名実ともに形成外科学教室が独立しました。大学院生入学も始まり、基礎的研究も積極的に行える体制になりました。平成17年(2005年)の大学院再編に伴い、医学系研究科外科病態学講座形成外科学分野へと変更となり、本来の姿である外科系臨床講座の1つとして認められ、古くて新しい東北大学形成外科教室は新たなステージに上がり現在に至っています。

教室開設年月日

診療班開設1963年(昭和38年)
標榜科開設1980年(昭和55年)4月
大学院講座開設1999年(平成11年)9月

設置場所

東北大学病院

現在の教室員数

45名(内大学在籍17名)

同門者数

105名

歴代科長とその在任期間

  • 藤田 晋也助教授1982年-1994年3月31日
    藤田 晋也助教授
    1982年-
    1994年3月31日
  • 山田 敦教授1995年1月1日-2006年9月31日
    山田 敦教授
    1995年1月1日-
    2006年9月31日
  • 館 正弘教授2007年6月1日-2021年3月31日
    館 正弘教授
    2007年6月1日-
    2021年3月31日

教室の現況

  臨床面では、複数診療科の連携による唇裂・口蓋裂のチームアプローチ、歯科との連携治療による頭蓋額顎顔面の先天性疾患の治療、救急科をはじめとした複数科連携による高度頭蓋顎顔面外傷や四肢外傷の治療、耳鼻科や歯科口腔外科などとの共同によるマイクロサージャリーを用いた頭頚部再建外科、整形外科との連携による四肢軟部組織腫瘍切除後の再建、乳腺外科との連携による乳房再建手術、血管神経付き筋体移植による陳旧性顔面神経麻痺の治療など広く形成外科一般の研究治療を行っています。また、他院で治療の難しいいわゆる血管腫の治療も硬化療法を中心に最新の治療を提供しています。私たちの教室にとって伝統的な手の外科診療は、現在仙台医療センターに手の外科センターを設置し、集約化を図っています。
  基礎研究面では、免疫反応に注目した創傷治癒研究、Mg合金を用いた能動的な新たな骨接合材の開発などを中心に行っています。

これまでの主催学会

第2回日本形成外科学会基学術集会(1993年10月9~10日)
第11回日本形成外科学会基礎学術集会(2002年10月3~4日)
第32回日本マイクロサージャリー学会学術集会(2005年12月1〜2日)
第3回日本下肢救済・足病学会学術集会(2011年5月13〜14日)
第44回日本創傷治療学会(2014年12月2~3日)
第17回日本褥瘡学会学術集会(2015年8月28~29日)
第129回日本美容外科学会学術集会(2017年7月1日)
第28回日本形成外科学会基礎学術集会(2019年11月14〜15日)